M&Aに強いM&A弁護士の選び方
M&Aをすると決めたとしても、売主候補会社・買主候補会社を探すことは容易ではありませんし、売主候補会社・買主候補会社が見つかったとしても、取引条件をどうすればよいのか、どのようにプロセスを進めればよいのか、何を確認する必要があるのか、相手方とうまく交渉できるのか、M&Aは一生に一度のことですので、分からないことばかりです。
また、売主候補会社・買主候補会社と話がまとまったとしても、M&Aの手続き自体、非常に複雑で専門的ですし、M&A契約書やM&A手続きも専門的であり、適切に対応しないと、M&Aの後のトラブルの原因となります。
したがって、M&Aをする場合、M&Aに強いM&Aスペシャリストの弁護士を指名することが重要になります。
M&Aをお考えの皆様は、是非、M&Aに強いM&Aスペシャリストの弁護士を指名して、M&Aを成功させてください。
M&A弁護士の類型
M&Aスペシャリストの弁護士は、以下のように、大きく5つに分かれます。
しかし、大手法律事務所や外資系法律事務所に依頼するような、特別なM&A案件を除いては、中堅中小規模のM&Aについて、ほとんど、選択肢はない状態かと思われます。
1.大手法律事務所(五大法律事務所)のM&Aチーム
大手法律事務所は、クロスボーダーM&A(海外企業とのM&A)や100億円以上の大型案件を対象としております。
手数料は数千万円から数億円になることもあります。
2.外資系法律事務所
外資系法律事務所は、主としてクロスボーダーM&A(海外企業とのM&A)を対象としております。
手数料は数千万円から数億円になることもあります。
3.中堅法律事務所
中堅法律事務所は、M&Aチームは存在せず、各種企業法務案件の一環として、M&Aには素人の弁護士が、ごくたまにM&A案件を取り扱います。
手数料はさまざまです。
4.ブティック法律事務所(M&Aの専門法律事務所)
大手法律事務所にてM&Aを取り扱っていた弁護士が独立した法律事務所です。
ただ、独立以降は、大手法律事務所で担当をしていたクライアントからの依頼以外に、M&A案件を取り扱う機会はほとんど存在しない法律事務所がほとんどです。
手数料はさまざまです。
5.普通の法律事務所
M&A案件は多くは存在していませんので、M&Aが普通の法律事務所に依頼されることは基本的に皆無です。たまに、M&A当事者が誤って普通の法律事務所に依頼をされることがありますが、M&A業務を唄っている法律事務所でも、取扱実績が「数年に1件」という法律事務所がほとんどです。
M&A総合法律事務所の強みとメリット
M&A総合法律事務所 | 大手法律事務所 (五大法律事務所)の M&Aチーム | 外資系法律事務所 | 中堅法律事務所 | M&Aブティック 法律事務所 (数名のM&A専門法律事務所) | 普通の法律事務所 | |
M&Aの経験・実績 | 多い | 多い | 普通 | 少ない | 普通 | 無い |
M&Aの専門性 | 高い | 高い | 高い | 低い | 普通 | 無い |
サービス内容 | M&A法務及びM&A仲介 | M&A法務のみ | M&A法務のみ | M&A法務のみだが素人 | M&A法務のみ | 素人 |
交渉力 | 高い | 普通 | 普通 | 低い | 普通 | 無い |
ネットワーク | 多い | 無い | 無い | 無い | 無い | 無い |
取扱規模・内容 | 中堅中小規模案件 | 超大型案件 | 海外案件 | ほとんど無い | ほとんど無い | 無い |
手数料 | 普通 | 非常に高い | 非常に高い | 普通 | 普通 | N/A |
M&Aに強いM&Aスペシャリストの弁護士の選定のポイント
弁護士個人のM&Aの経験・実績が最大のポイント!!
M&Aスペシャリストの弁護士かどうかを判断するためには、弁護士個人のM&Aの経験・実績を確認することが重要です。
M&A専門の弁護士と唄っていても、1-2年程度の経験で、1-2件の実績しかないほとんど素人の弁護士もいます。特に、中堅法律事務所はほとんどがこのパターンです。
また、M&Aの長いプロセスの一部だけにしか関与したことのないM&A弁護士もいます。特に、大手法律事務所で多く存在します。
M&Aは、法律・会計・税務・経営・交渉理論の総合格闘技と言われますが、M&A弁護士でその他の分野まで考慮して検討やアドバイスを行うことができる弁護士は、存在しないと考えてよいと思われます。M&Aに強いM&Aスペシャリストの弁護士は必ずしも多くないのです。
M&A弁護士個人のM&Aの経験・実績が多ければ、その分、多くの事例に基づいた適時・適切なアドバイスを受けることができるというメリットがあります。
最後はM&A弁護士との相性です!
またこれも重要なことですが、M&A弁護士とは、M&Aが具体的な局面になってきた場合、一日に何回も連絡を取り合う関係になります。
そのようなM&A弁護士ですから、信頼できる相手であるとともに、人間的にウマが合うと言いますか、相性の良い相手でないと、M&Aのプロセス自体が苦痛なものになりますし、コミュニケーションが悪く誤解が生じるような場合は、真に顧客の望むM&Aが実現できないこととなります。
M&A弁護士との相性、見落とされがちですが、これが最も重要なM&A弁護士選定のポイントかもしれません。
このように、各M&A弁護士はそれぞれの特徴・分類がございますので、M&Aをご検討の皆様は、ご自身のニーズを踏まえ、適切なM&A弁護士を選定されることが良いかと思います。