JAL(日本航空)の上級ステータスを取得するために飛行機に乗りまくる「JAL修行」
多くの人は、JGC(JALグローバルクラブ)のステータスを獲得することを目標とするため、「JGC修行」とも呼ばれることがあります。
では、JGC修行をするのにあたりおすすめのクレジットカードは何になるのでしょうか。2020年最新データを元に解説します。
JGCって何?!取得条件は?!
JALのステータスで制度と修行目標
JALでは、利用するお客さんの利用状況に応じてステータスを付与しています。ステータスは、フライトの回数とJALが独自に計算をしているポイント制度のFLY ON POINT(以下FOP)によって決まります。計算期間は1月から12月までの1年間で、この間に条件を達成することができるとステータスを獲得できます。
ステータスは以下の4つがあり、それぞれに取得条件が違います。
ステータス名 | 取得条件(1月から12月のFOP累計) |
ダイヤモンド | 100,000FOP獲得または120回搭乗 |
JGCプレミア | 80,000FOP獲得または80回搭乗 |
サファイヤ | 50,000FOP獲得または50回搭乗 |
クリスタル | 30,000FOP獲得または30回搭乗 |
4つのステータスの中で「JGC修行」をする人が目標とするのが「サファイヤ」のステータスです。サファイヤのステータスを獲得することができればJALグローバルクラブに入会する資格を得ることができます。
JGC(JALグローバルクラブ)に入会するメリットは?!
「JGC修行」という言葉があるほど、なぜ多くの人がJGC(JALグローバルクラブ)への入会を目指すのでしょうか。その理由は、魅力ある特典にあります。しかも、一度JGCに入会することができれば、クレジットカードの年会費を支払い続ける限り、JGCの特典を維持し続けることができます。
JGC(JALグローバルクラブ)に入会すると以下の特典を受けることができます。
・搭乗ごとのボーナスマイル(カード更新時 3,000マイル フライトごとに35%のボーナスマイル)
・専用のチェックインまたは優先チェックインカウンターの利用
・優先搭乗と空席待ちの優先扱い
・サクララウンジの利用
・受託手荷物の1つ追加
・座席指定の拡大
・航空券の先行販売参加権利
どの特典もJALの飛行機に乗るときに便利なサービスばかりです。JALだけでなく、JALと同じアライアンス(ワンワールド)に加盟している航空会社や提携している航空会社でも同じようなサービスを受けることができます。空港での待ち時間を減らすことができるだけでなく、快適に過ごすことができるサービスを受けることができます。よって、JGCの修行をする人が多いのです。
JGC修行に必須のJALカードとは??
なぜJALカードが必須なのか?!
マイルを貯めようと思うと必須になるのがマイルを貯めることができるクレジットカードです。実際、世の中にはマイルを貯めることができるクレジットカードが数多くあります。高還元率のカードとして有名なものに「スカイトラベラーカード」「SGPアメックス」があり、スカイトラベラーカード・プレミアムであればマイル還元率が最大5%となるので、マイル還元率の高くないJALカードよりもこちらの方がよいと思ってしまうかもしれません。
しかし、JGC修行をするにはJALカードを選択しなければなりません。
なぜならJGCの入会条件として「JALカードのCLUB-Aカード以上を保有していること」という条件が付いているためです。つまり、他のクレジットカードを利用しても最終的にJALカードに入会する必要があり、2つのカードを保有する維持手数料を支払っているとコストがかかりすぎてしまいます。
JGC修行で選ぶならどのカード?!
JALカードには大きく4つのラインナップがあります。
・JALカード 一般
・JALカード CLUB-Aカード
・JALカード CLUB-Aゴールドカード
・JALカード プラチナ
この4つの中でJGC修行をするには「JALカード 一般」以外が選択肢になります。JALカード一般では、JGCのカードに切り替えることができません。
では、他の3つの選択肢の中でおすすめのカードはどれになるのでしょうか。結論から言うと「JGCへの入会を目指すのであればJALアメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールドカード」、ダイヤモンド会員以上を狙うのであれば「JALカード プラチナ」がおすすめになります。その理由を以下で解説します。
JGC修行にはアメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールドがお薦め!
JALカードの比較と還元率!!
なぜ、JGC修行には「JALカード CLUB-Aゴールド」がおすすめなのでしょうか。その理由をまずカードの維持コストと還元率から解説します。
まず、JALカードを保有するには年会費が必要になります。
この年会費を3つのカードで一覧にすると以下のようになります。カードブランドはJCBやVISA、Masterがありますが、JCBで統一しています。(プラチナはJCBまたはアメリカンエキスプレスしかありません)
CLUB-A | CLUB-A ゴールド | プラチナ | |
本会員年会費 | 11,000円 | 17,600円 | 34,100円 |
家族会員 | 3,850円 | 8,800円 | 17,500円 |
年会費だけのコストを見ていると「CLUB-Aカード」が最も安く、プラチナが最も高いということが分かります。
ただし、この数字には注意が必要で、100円の利用で1マイルを貯めることができるようにするにはショッピングマイル・プレミアムに加入する必要があります。「CLUB-Aゴールド」と「プラチナ」は加入済みになっていますが、「CLUB-A」の場合には入会(年会費3,300円)する必要があるので実質の維持費は以下の表になります。
CLUB-A | CLUB-A ゴールド | プラチナ | |
本会員維持手数料 | 14,300円 | 17,600円 | 34,100円 |
表を見るとCLUB-AとCLUB-Aゴールドの間では3,300円の差額しかありません。
ボーナスマイルはほとんど変わらない
カードの種類が複数あると変わってくるのがボーナスマイルです。特に航空会社の発行しているクレジットカードでは、フライトの距離に対して一定の割合をボーナスマイルとして付与するのが一般的です。
しかし、JALカードの場合、「CLUB-A」「CLUB-Aゴールド」「プラチナ」の3種類ともボーナスマイルは25%です。さらにカードを発行して、初めての搭乗の時にもらうことができる入会搭乗ボーナスも全て5,000マイル、毎年のカード更新後に初めて搭乗したときのボーナスマイルも2,000マイルとなっています。つまり、ボーナスマイルの面だけ考えると「CLUB-A」カードを発行するのがお得になります。
CLUB-Aゴールドの優位性
ボーナスマイルもほとんど変わらず、年会費は3,300円ほど高いCLUB-Aゴールドですが、いくつかゴールドの方が優位な点があります。この点が差額に見合うと判断できれば、ゴールドの取得がおすすめです。
まず1つ目がカードに入会したときのキャンペーンによるマイル付与の違いです。
例えば、2020年1月から2020年3月末まで行われているキャンペーンで見てみるとJALの飛行機に搭乗する、しないに関わらずもらうことができる入会ボーナスがCLUB-Aカードが1,500マイルであるのに対して、Club-Aゴールドカードでは2,500マイルに設定されています。つまり1,000マイル余分にゴールドの場合はもらうことができます。
さらにCLUB-Aゴールドの特典として空港でクレジットカード会社が運営しているラウンジを利用することができます(JALのサクララウンジなど航空会社が運営しているラウンジは利用不可)。
JGCの修行をするのであれば数多くのフライトをすることになります。当然空港での待ち時間も出てきます。こうしたときにドリンクサービスやインターネット接続などのサービスを受けることができるラウンジが使えるのは便利です。通常カードラウンジを利用する際には一人1,000円以上取られるので、3回以上利用すれば年会費の差額を埋めることができます。
このようにボーナスマイル1,000マイル分とラウンジを利用することができる権利がゴールドカードであればついてくるので、頻繁に飛行機に乗ることになるJGC修行には、CLUB-Aゴールドがおすすめになります。
コストパフォーマンスがよいアメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールド
アドオンマイルによって100円につき3マイル貯まる!!
では、JGCの修行にプラチナカードを保有する価値があるのかどうかという点ですが、これは人によって判断が分かれるラインになります。まず、年間のカード維持費用で見るとCLUB-Aゴールドとプラチナの間では16,500円の差額があります。ボーナスマイルには、差がありませんが、プラチナカードには「アドオンマイル」の制度がついています。(アメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールド〔年会費20,900円〕も100円で1マイル追加)アドオンマイルは、JALグループの国内線航空券や機内販売などの特約店での利用では100円につき2マイルが加算され、合計100円につき4マイル貯まることになります。
(JAL航空券購入時の獲得マイル)
CLUB-A | CLUB-A ゴールド | アメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールド | プラチナ | |
本会員維持手数料 | 14,300円 | 17,600円 | 20,900円 | 34,100円 |
航空券購入時獲得マイル | 100円につき2マイル | 100円につき2マイル | 100円につき3マイル | 100円につき4マイル |
1マイルの価値を1.5円と考えると・・!
カードによって航空券を購入したときの獲得マイル数に違いがあることが分かります。この差を円に換算して価値を算出します。
1マイルの価値は、人によって判断基準が分かれますが、今回はJGCでの修行を前提としているので、貯まったマイルをそのまま航空券代に充てるとします。JALマイレージバンクでは、貯まったマイルをJAL eポイントに交換して、交換したポイントで航空券を購入することができます。交換率は2つあり、3,000マイルの場合には3,000円分のクーポンとなるので1マイル=1円の換算率になりますが、10,000マイルを交換した場合には15,000円分のクーポンとなります。よって1マイル=1.5円となります。獲得できるマイル数が多くなり、それが年会費の穴を埋めることができるのであれば、プラチナカードやアメックスCLUB-Aゴールドを持つ方がよくなります。
JGC修行に必要な経費は?!
JGCを取得するためには、飛行機に乗りまくって50,000FOPを超えるか、50回の搭乗を超えなければいけません。では、これだけ飛行機に乗るためにはいくらかかるのでしょうか。2020年夏スケジュールのデータを元におおよその金額を算出してみました。
【ケース1】 50回の搭乗をする場合!!
JGCを獲得するには50回飛行機に乗らなければいけません。しかし、回数の目標さえクリアすればよいので、できるだけ安い運賃で、しかも1日に何回も飛ぶことができる路線が好まれます。そこでJGC修行で人気のある路線の「大阪(伊丹)-但馬」「福岡-宮崎」とビジネス路線の代表格である「東京(羽田)-大阪(伊丹)」路線で、費用を計算してみます。
路線 | 大阪(伊丹)-但馬 | 福岡-宮崎 | 羽田-大阪(伊丹) |
先得運賃価格 | 7,460円~ | 5,500円~ | 7,750円~ |
50回搭乗最安値 | 373,000円~ | 275,000円~ | 387,500円~ |
CLUB-Aゴールド獲得マイル数 | 7,460マイル~ | 5,500マイル~ | 7,750マイル~ |
アメックスCLUB-Aゴールド獲得マイル数 | 11,190マイル~ | 8,250マイル~ | 11,625マイル~ |
プラチナカード獲得マイル数 | 14,920マイル~ | 11,000マイル~ | 15,500マイル~ |
上記のようになります。
JGC獲得までカードごとに獲得マイル数の差をCLUB-A、CLUB-Aゴールドカードを基準にすると以下のようになります。
JGC修行路線 | アメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールド | プラチナ |
大阪-但馬 | 3,730 | 7,460 |
福岡-宮崎 | 2,750 | 5,500 |
東京-大阪 | 3,875 | 7,750 |
次にマイルをJALeポイントに交換した価値を算出します。
JGC修行路線 | アメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールド | プラチナ |
大阪-但馬 | 5,595円 | 11,190円 |
福岡-宮崎 | 4,125円 | 8,250円 |
東京-大阪 | 5,812.5円 | 11,625円 |
基本のJALカードCLUB-AとアメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールドを比較すると年間維持費の差は6,600円になります。獲得するポイント価値で算出すると修行だけで年間維持費の差を埋めることができませんが、もらえるボーナスマイルの違い(1,000マイル分)を加えると差を埋めることが可能です。
CLUB-AゴールドとアメックスCLUB-Aゴールドの差額は3,300円になるので、修行するときに稼ぐことができるマイルの差を考慮しても、十分に年会費の差額を埋めることができます。
CLUB-Aゴールドとプラチナカードの差額は16,500円になるので、マイルの差を考慮しても差額を埋めることはできません。
【ケース2】 FOP50,000を目指す場合!!
今度は、FOPが50,000ポイントを超える数字を目指すケースです。この場合は、安い路線を50回乗るよりも費用がかさむ傾向があります。
例えば、JGC修行で有名な東京-沖縄で50,000FOPを目指す場合、一番安い「先得運賃」を利用すると片道で1,476FOPの獲得になります。50,000FOPを獲得するためには34回(17往復)しなければいけません。2020年夏スケジュールの先得最安値は8,800円~であり、この金額ですべて往復することができるとすると、約30万円が必要になります。
30万円を全てJALカードで支払うと、前述の表に合わせて、獲得マイル数とマイルをeJALポイントに換算し直すと以下のようになります。
【30万円で東京-沖縄を往復しJGC基準を満たした時のマイル価値の差】
JGC修行路線 | CLUB-A・
CLUB-A ゴールド |
アメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールド | プラチナ |
東京-沖縄 | 0 | 4,500円 | 9,000円 |
JALカードCLUB-Aゴールドと比べるとアメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールドであれば差額を埋めることができますが、プラチナとなると年会費の差額を埋めることはできません。JALカードCLUB-Aの場合にはボーナスマイル分まで含めるとほぼ同じ価値になりました。
よって獲得したマイルをすべてJALeポイントに交換するのであれば、JGC修行にはJALアメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールドが最もお薦めのカードになります。
プラチナカードに優位性はあるか?!
100万円以上の利用で年会費の差は埋まる?!
JALカードの中でも最高ランクであるプラチナカードですが、JGC修行をするにあたってメリットはあるのでしょうか。一番大きいのがJALアメックスCLUB-Aゴールドと比べて、15,000円近い年会費の差があるということです。
プラチナカードになれば、アドオンマイルの関係でJAL航空券を購入すれば100円につき4マイル貯まります。JALアメックスCLUB-Aゴールドと100円あたり1マイルの差がつきますが、これで年会費の差を埋めようと思うと100万円程度の航空券購入が必要になります。100万円分となるとJGC修行どころか、JALのステータスで最高ランクになるダイヤモンドステータスを目指せる金額であり、ダイヤモンド会員を目指すのであればプラチナカードを保有するメリットも出てきます。
プライオリティ・パスが付いてくる!!
プラチナカードに優位性があるとすれば、世界中の空港ラウンジを利用することができる「プライオリティ・パス」のプレステージが付いてくる点です。このラウンジは、クレジットカードラウンジとは異なり、航空会社が運営するラウンジを利用できるケースもあります。(例えば 成田空港のKAL Lounge、中部国際空港のStar Alliance Loungeなど)
国際線のラウンジが多いですが、ゴールドカードとの特典で国内線のラウンジも使えるので飛行機に乗るときに使えるラウンジの範囲が広がります。
プライオリティ・パスのプレステージは、年会費が429US$かかるので年会費の差額以上のサービスを受けることができます。
海外修行をするのであれば選択肢としてあり!!
JGC修行をする際のプラチナカード選択ですが、国内線ではなく、国際線をメインに修行する(有名なルートとしてはSINタッチやクアラルンプールタッチ)、または国際線の利用が多い人にとってはプラチナカードを選択する価値はあります。
プラチナ専用のコンシェルジュデスクやJCBであれば「JCB Lounge京都」「グルメ・ベネフィット」の利用もできます。
まとめ
2020年にJGCの取得を目指して修行を考えているのであれば、コストパフォーマンスと貯まるマイルの面から最も良いカードはJALアメリカンエキスプレスCLUB-Aゴールドになります。できるだけ、コストパフォーマンスを抑えたいのであればJALカードCLUB-Aを選ぶ選択肢もありますが、飛行機へ乗るごとに30万円から50万円以上かかるため、航空券代を支払ったときにマイルが貯まりやすいカードの方が良くなります。
最高ランクのプラチナカードも年会費は高いものの、マイルの貯まりやすさ、プライオリティ・パスが付く良さがあります。ただし、年会費分の差額を獲得できるマイルで埋めようと思うと、かなりの金額を利用しなければいけません。